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「伝える」は奥が深い。メディア編集者3人が語る”これからのストーリーテリング” #AWAsia

2018年5月14日〜16日に、東京ミッドタウンで開催されているAd Week Asia。会社の偉い人から関係者向けのチケットをもらったので行ってきました。

Yahoo! JAPANも関係の深い「Oath」に関連するメディア、ハフポやEngadget、Tech Chrunchが集まり、これからのメディア運営について話す会がありました。こちらもメモを残しておいたので、どうぞご参考までに(展開が早くてメモでカバーできた量は少なめです…)。

ちなみに、ほか記事は以下です。

Googleは、機械学習でどうマーケティングを変えようとしているのか #AWAsia - @d_tettu blog

6秒でメッセージを届ける方法とはーーYouTube動画広告の効果的な作り方 #AWAsia - @d_tettu blog

LINE 桜川さんの話す「もっと読んでもらうための工夫」が実用的すぎてめちゃいい #AWAsia #LINE_AWA - @d_tettu blog

 

  • 5月14日(月)13:00〜@東京ミッドタウン
    • Yahoo! JAPAN 岡田 聡さん
    • ハフポストジャパン 竹下 隆一郎さん
    • Engadget 矢崎 飛鳥さん
    • Tech Chrunch 木村 拓哉さん
  • ストーリーテリングのこれまでとこれから……メディアは今、価値をどう作っているのか?
    • 竹下)本をいざ売り出すと、数百人が作っている。その人たちが買う、配る、広まる。まずは数百人規模をつかむことが大事。そこからマスに広がるという構造がある。
      • 一人ひとりがハフポのファンになって大きくなっていく、そういったかたちのストーリーテリングが大事かなと思う。
    • 岡田)iPhoneが出てきてから、表現の多様性、コミュニティ形成、あらゆる面で情報流通が変わりつつある。
      • これまでやってきたこと、これからやりたいことを聞きたい。

 

  • 何を変えず、何を変えていくのか?
    • 木村)TechCrunchぽさ、言葉遣い、文体などのぽさは残していきたい。
      • 岡田)文体とはどうやって決める?
      • 木村)もともとはUS TechCrunchの読者でもあった。読んでいて、TechCrunchだとこういうふうに書くのかと学んだ部分がある。奥深い。文化的な存在。
        • 岡田)それぞれテイストはある。
    • 竹下)ハフポストはみんながもやもやしていることを言葉にしようと言っている。言葉にしたあとにどこに届けるのかは変わっている。Facebookだったのが、Y!Jになったり。配信先に注意をしないといけない。
      • 岡田)PFはアルゴでころころ変わる。接点を最大化していくのは大事。
      • 矢崎)Twだと思ったら外部配信だったりと…
      • 木村)Fbが一番の流入元だったが、変わりつつある。トレンドをつかむのは必要。
        • 竹下)そこがOathの強み。グローバルのネットワークに入ってくるので、情報感度は高い。第一歩第二歩がOathだと早い。
      • 岡田)日本独自でそれぞれ話すことはあるのか?
        • 竹下)働く場所は同じだったり違ったりするが、ローカライズを顔合わせてできる。そこが強み。
    • 矢崎)顔を突き合わせて話はする。記事の連携/やり取りもする。
  • 竹下)Fbなんて勝手に変えて困る。自分たちの思いをグループとして伝えられたらと思っている。そこを突き合わせてコミュニケーションできたら嬉しい。
    • 岡田)Y!Jという届ける側としても、見たいと思っているユーザーに届けるのか。PFとしてそこは考えていきたい。
      • 今メディアが求められていることは、単なるコンテンツメイキングだけではない。
      • 「伝える、伝わる、動かす」ための手法はどういったものがあるか?

 

  • 「伝える、伝わる、動かす」について
    • 竹下)「次の行動につながる」は大事。リアルイベントを大事にしてきた。イベントにくるのは相当なエンゲージメント。
      • 平日に遅刻せずに来るのが9割。そこが珍しい。その行動を指標として測ろうかなと思っている。
      • 数十人が「今日のハフポストのイベント出席しました」という人の動きを見ていると、ムーブメントになっている印象がある。
    • 岡田)TechCrunchは大規模なイベントをしている。
      • 木村)11月ごろに開催している。2,000人を超える参加者。特にスタートアップは一つのコミュニティ、そこに参加することが大事。イベントを通じてスタートアップを知ってもらう、つなげる。
        • コミュニティの役に立つという取り組みをして、レピュテーションを高める、それによってビッグなスピーカーが登壇する。そういう好循環を描きたい。
      • 岡田)具体的にどういった点で良かった?
        • 木村)イベントに登壇したから出資が決まった、ユーザーが増えた、ということがある。
        • スタートアップ業界にはTechCrunchがいなきゃね、という雰囲気ができる。第一想起としてTechCrunchが挙がる。それによって情報が集まる。
    • 岡田)EngadgetはAppleコミュニティに対して強い印象があるが。
      • 矢崎)今はメディアに頼らずともAppleについて情報は集まる。テックに限らずそう。
        • 新しいiPhoneが出るときにはその前に既に触れている、という状況を構築する。
        • 数社の媒体のうち一つなので、料理の仕方が大事。例えば、これまでiPhoneを撮ってきたプロのカメラマンを使ったり。
    • 岡田)ハフポはキャンペーン的な展開をやっている。
      • 竹下)#Metoo は日本でも集中的に配信したが、日本でも盛り上がってきた。何か言葉を与えてキャンペーンをすると、継続的に読まれる。
      • 矢崎)テックはストックが難しい。
    • 岡田)特化型の強みはどうか?
      • 矢崎)まだ挑戦中。英語動画の自動翻訳をやっている。
    • 岡田)広告市場がついてきた、動画に対してはどうか?
      • 木村)今は重点的にやっているわけではないが、3分ニュースみたいな感じで出したりもしている。動画を見ると、もじゃ頭のアメリカ人が面白かったりする。コメンテーターのパーソナリティで惹きつけるようにしている。
      • 自分は1年半くらい前までカナダに住んでいた。日本だと満員電車で動画が見られない。音声なしで字幕だけ出てくる動画が出てきたと思うが、市場環境の違いによって見られ方は異なる。
  • 竹下)動画市場について変化は激しいというか、競争が激しい。Abemaがかなりリソースを費やしたりしている。
    • Student Editor、プロの社員より数字を稼いだりしている。
    • その人たちに品の良いYouTuberになってほしいとも思っている。(山口メモ)※一部「ここだけね」という話があったので、そこは省きました。
  • どんな指標でメディア運営をしているのか?
    • 竹下)読了時間を見ている。記事に対してどれだけ読んでくれたのか。媒体資料にも載せている。時間も率も見ている。同じPVでも価値が違うよねと。
      • 今なら4分という数字も出てきたりしている。
    • 矢崎)読者の購入行動も見ている。実際に生活を変える指標であるので。現状はそこまできちんとしたものはないが、同じクライアントで別メディアに広告が出たとして、Engadgetが購買率が高かったと出た。それが全てじゃないかなと。
      • 岡田)要因は?
      • 矢崎)買いたくなる記事。読んで、ほしいとなる記事。
    • 木村)PVも見ているが、記事に対する意見が出てきたのかは定性的に見ている。Twがあるので簡単になったが、コメントも。
      • 記事を書いてユーザーが増えましたと言われることがあるが、前に言われたのは「記事のおかげで改善できました」と言われたことがあった。
      • 実際に使って正直ここが微妙と書いたところ、Twでその意見が浮き彫りになった。で、改善に。企業を褒めるとかアプリを褒めるとかではなく、自分の意見を入れた記事でそこまでいったのが嬉しかった。

 

  • 岡田)反応などユーザーシグナルをどう捉えるか?
    • 竹下)がっつりのクライアントは「ハッシュタグ作りませんか?」と提案している。言葉を作って、そのコミュニティを作る。そのほうが喜ばれる。
      • Twハッシュタグは本音。それが出てくるほうがいい。意見や思いの可視化。企業だと商品名を入れがちだが、メディアだと社会っぽくしたりできる。
    • 矢崎)ブロガーさんがわりとEngadgetのコミュニティに入ってきてくれる。いわゆる広い層に対してはあんまりアプローチできていない、課題。女性を取り込みたいと思っている。ハフポと記事のやり取りをして、ユーザーの流し込みをしている。
      • 岡田)その結果がどうだったのかデータの見方も多様になる。

 

  • 岡田)3つのメディアはそれぞれPFやニュースアプリに配信してるが、存在感をどう出している? 配信戦略について。
    • 矢崎)Y!Jは技術的な難しさもある、画像に関する仕様が〜とか。記事によって配信先を変えたりしている。
    • 木村)時間帯を気にしたりはしているが、各PFがあって、配信先に合わせた記事を作るのが重要なのではなく、TechCrunchとしての記事の品質を上げるのが大事。
      • 岡田)滞在時間は大事な指標かと思う。
      • 竹下)滞在時間でいうと、文体から変えている。Y!JだとY!J向けのリード文を作っている。広い読者に読ませる場合は、いきなり#Metoo について話しても伝わらなかったりする。
        • LINEはあえて学生に見出しを考えてもらったりする。
    • 木村)基本的には最後まで読まれたかどうか、滞在時間はそこまで長くないが、読了で見ている。CTRにつながっていないときはTwの文章で別にテキストを変えている。
      • 見た目とサムネを変えたりするのは結構な頻度でやっている。
    • 矢崎)同じくリード文は工夫している。最後まで読んでもらおうと。
 
  • 岡田)伝える内容と届け方、それを工夫してエンゲージメントが作られると思った。プレミアムメディアを目指すため、どうするか?
    • 竹下)コミュニティに注力したい。個別に意見、シグナルが大事。そこがOathの強み。広告もテックも、メディアもやっている。人間臭い部分が大事になってくるのでは。
      • Facebookもザッカーバーグの考え方で変わったりする。そこをベースに作っていくのがインターネットでは。
    • 矢崎)人間臭い。いくらでも個人で情報発信できる時代なので、素人の媒体と一緒じゃないというのは伝えていきたい。
      • 効率を求めたらコタツ記事になるが、そんなことできない。メディアがなくなる。存在意義がそこにあるので、取材して最前線で品質の高い記事を出していきたい
    • 木村)TechCrunchイベントを強化して、コミュニティ内での存在感を高めて、「なくてはならない」と言われる戦略をとっていきたい。
 
  • 岡田)編集のキーパーソンに実践的な、人間臭いことを聞けたかと思う。人間臭いポイントが重要視されつつある、滞在時間につながる。コンテンツをお届けする立場ではあるが、人々をインスパイアし続けられたらと思う。

注釈:高速でまとめたので、聞き取れなかった箇所は省いたりしています。誤りがあった場合はご指摘ください。

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