東新宿でタイ料理が食べたくなったら、高コスパの「トンタイ」一択
暑い季節にはシンハー・ビール。軽めののどごしが素敵。というわけで低コストでメシも美味いと評判のタイ居酒屋「トンタイ」に行ってきた。
入り口がなかなかパンチのある雰囲気で非常によろしい。「豊かな暮らし」なんて最果ての出来事のようなこのたたずまい、うらぶれた雑居ビルの一角にあるような空気感が好ましい。手の届かない無理した豊かさよりも等身大の場末感を求めたい。
シンハー・ビールが1杯600円、なぜか3本頼むと1本おまけで出てくるというサービス精神。キャンペーンだったってさ。軽めのビールに合わせてピリ辛の料理なんかを頼むと、これがまた美味い。
お腹にたまらないだけに、パクパクとつついてしまう。そこらへんの居酒屋なんかで食べる唐揚げとは全然違う。何が違うか。全部だよ。
箸休めのような存在であるパッタイだけれども、トンタイではほんの少しだけ辛味がかっていて、それがかえって食欲をそそる。
どんな料理でも存在感が薄く、「まあなくてもいいよね」的な存在であるもやしも、このパッタイに添えられては意味合いが変わってくる。麺の柔らかさともやしのシャキッと感の相性が素敵。
牛肉のナンプラー炒めも一応サラダというジャンルにカテゴライズされてはいるが(どこがだ)、なんとも東南アジア風の辛さで箸が止まらない。これは辛いのが苦手だとちょっと避けたほうが良いかもしれない。
ナンプラーの香りが結構強めなのだけど、これがまたかつて旅をしたタイの屋台を思い出させてくれる。バンコクの暑い風にあてられて食すご飯は最高に美味かった。何度か男性にせまられた危機も今となっては良い思い出だ(海外に出かけると週に1度はそういう危機が訪れる。危険な男なのだ)。
他にもパクパクとお腹がふくれるまで食べて、一人あたり3000円ほど。や、安い。宣伝ではない。
東新宿に位置するだけに新宿駅からはややアクセスには難があるが、この暑い季節にちょっと歩くくらい、ちょうどよい気分転換になるのではなかろうか。夜風にあてられて酔いをさます、まだ辛味の残る舌先が少しずついつもの感覚を取り戻していく。あなたが思えば東新宿だってバンコクの旧市街地だ。イメージは僕らをほんの少しだけ素敵なところへ届けてくれる。
帰りは新宿駅近くの「昴」に寄ってみる。1980年代の雰囲気を残す良いお店だった。
「豊かな暮らし」は自分なりの模索と好みの構築を繰り返すことにあって、誰かの「豊かさ」をトレースするのなんてくだらないなーなんてふと思う。それは僕らが嫌うコピペじゃないか。「Ctrl+C、Ctrl+V…」。