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@d_tettu blog

メディアとかウェブとかネコとかそこらへん。たまに日記。

「ほっといてくれる飲み屋」の有り難さ

「マッド・マックス見ました?いやあ昔からあのシリーズをずっと見てきましてね…え、まだ見てない?あれは見るべきですよ!ヒューマン系の映画は見ないですねえ、分かりやすい映画しかダメでwww」

いわゆるウェットなコミュニケーションをとってくる飲み屋、バーが苦手だ。冒頭のような会話をしてきたお店には、もうそれっきり足を運んでいない。嫌いというわけではない。サンマの塩焼きにキャベツの千切りは合わないとか、ただ単に相性の問題なのだと思う。申し訳ない。

自宅から徒歩5分ほどの近所に、夫婦で切り盛りしている焼き鳥屋がある。とてもキレイとは言えないが、中央線の雰囲気を残すこじんまりとしたお店だ。いつもユーミンの歌が流れていて、カウンターの隅っこではおっちゃんがちびちびとビールを飲みながらクロスワードを解いたりしている。

有り体に言って「場末」だ。

週イチくらいのペースで訪れ、同じくビールをちびちび飲みながら本を読む。テレビはだいたい野球中継を流していて、阪神だか巨人だかが失策をすると「あ〜」と店内から声が漏れる。

週末には草野球帰りのおっちゃんが集まり、わいわい賑やかにテーブルを囲む。時間が進むに従い表情が赤くなっていく。ご主人は忙しそうにカウンターの向こう側で右往左往しながら、黙々と調理しつつ時折お客さんの会話に混ざったりしている。

ぼくはその間、注文時以外はほぼ言葉なく本のページをめくる。ご主人も「本を読みに来た人」と認識しているので、話しかけることはない。「ごちそうさまでした」と告げ店を出ると、ご主人はいつもニコッと笑い、ありがとうございましたとおじぎをする。

その距離感が居心地よい。気遣いすることなく本が読める。

1人で飲みに行くと気を使ってやたらと話しかけてきたり、距離感を縮めようとしてくるお店もあるけれども、悲しいかな、近くなればなるほど足が遠のく。距離感が近ければ近いほど良い関係性である、というわけではないのだ。

お財布と独り身に優しく、デイリーユースでひっそり飲めるお店がもっと増えると良いなあ。

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