@d_tettu blog

メディアとかウェブとかネコとかそこらへん。たまに日記。

「長すぎて読まない」を体現するようなTumblrの“Year in Review”を眺めて

Tumblrの2014年を振り返る「Year in Review」がおもしろい。
Tumblr 2014 Year in Review

「Fashion」や「Game」など、カテゴリーごとに反応のあった順位が並べられているもの。GIFカテゴリーだとなんかこんなのもあったり。


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ふだんはだらだらと眺めて気になるのがあったらrblgと、そこまでヘビーな使い方はしていなかったのだけれども、この「Year in Review」のAboutページに記載されていた言葉が印象深かった。

Tumblr’s Year in Review is a showcase of the best stuff on the Internet from 2014. Follow along for a daily dose of creativity, humor, humanity, fandom, and sharing.
And GIFs. Lots of GIFs!

TL;DR — It’s been a great year!
Tumblr 2014 Year in Review — About Tumblr’s Year in Review

Yahoo!CEOが言ってた「TL;DR」

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via CES 2014: Marissa Mayer keynote (live blog) | CNET

TL;DR…「Too Long Didn't Read(長すぎて読まない)」。米ヤフーのCEOであるマリッサ・メイヤーが、CESで話していたことが思い出される。

これは「News Digest」というAppを紹介していたくだりで用いられた言葉だ。「みんな忙しすぎるのです。長過ぎるニュースは誰も読まない」。
※Appは各所で既に紹介されているように、1日に1〜2回、10本程度のニュースをまさにダイジェスト形式で読むことができるというもの。

ダイジェスト化する思考

サッカー好きな先輩に教えてもらったのだけど、サッカー界隈では一部で「タッチ集」が流行っているらしい。

タッチ集とは、ある特定のサッカー選手の出場した試合におけるボールタッチシーンのみを集めた動画のこと。
試合をすべて見なくても、気になる選手のボールタッチシーンだけを素早く確認できる手軽さから、ネットで圧倒的な支持を得ている。
もっと効率よく知りたい…サッカーのタッチ集にみる、人々の「ダイジェスト思考」がもたらすもの - NAVER まとめ

そりゃなあ。

「別に見たくもないところを見る欲求なんてこれっぽっちもなくて、好きなところだけ見たいねん!」という気持ちは分かる。僕もYouTubeを見るときはちょくちょく飛ばして見ている。あれ、常識でしょ?

以前書いた「2015年は長文が〜」のいきなりのカウンターみたいになってきたが、情報消費の環境はそのように変化していると思う。スキマ時間で使われる(はずの)スマホの台頭で。

2015年は「バイラル」から「長文」に移り変わるのかもしれない - d_tettu's blog

このことについて「長文を読まなくなると考える力が〜読まなきゃあかんで〜」とか、「結局長いのなんてただそれだけで読まれないんでしょwwそういう頭になってるんだってwww」なんて言うつもりはない。

ここで立花隆さんがNHKクローズアップ現代のストーリーをぶち壊し(?)にした輝かしい一瞬を思い出してみたい。

(“読書ゼロ”の知的劣化や偏った考え方の広がり 学びの機関がスマートフォンやネットとなった場合どう見るか?)
知的環境そのものの変化の中で、むしろこの変化を利用して、どんどん自分の知的能力を膨らませていってる、そういう若い人たちが一方でものすごくいるんです。だから、それは一概に、こう、ああとは言い切れない。
(中略)
例えば、本を広げて、あるいは新聞広げて、この記事をちゃんと読むか、あるいはさっと目を通すだけにするか、その判断っていうのは、恐らく1秒以下っていうかね、それぐらいでやってるはずなんですよ、日常生活において。
ただそのこと自体はそんな驚くべきことじゃなくて、だから、そういうものを語るときにこれまでインプットとアウトプット、その2つでしかものを考えていなかったけれども、今はスループットという言葉があって、だから情報が頭を通過する、そのスピード、その内容、そちらを問題にする。
スループットがものすごい勢いで、どんどん増えてるっていうのが、現代の一番の特徴なんですよね。
広がる“読書ゼロ” ~日本人に何が~ - NHK クローズアップ現代

情報が多すぎる、まさにマリッサ・メイヤーが言うように「みんな忙しすぎる」昨今。環境に合わせて方法論が変わっただけで、脳の働きというか、知性の動きみたいなものって根本的にはそう簡単に変化しないと思う。

人間の脳が自然と行っていた知的活動に合わせて、例えば人や機械がそれをサポートするようにカタチを整えてくれる、そしてそれによってまた別の知的活動ができるようになる。

少なくとも、それは「進歩」と呼ばれるものだと思うのだけどどうだろうか。