@d_tettu blog

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Gunosyは「愚ノシー」になってしまうのか

Gunosyアップデートで「SmartNews化」の声

これまでの「朝刊夕刊」スタイルを維持しつつ、エンタメやスポーツといったジャンル別の情報も提示するようになったGunosy
25本という枠組みも取っ払い、良く言えば情報の網羅性が増した、悪く言えば「絞り込む」ことの良さは減った。
Gunosyの目標は「全ての人にとって欲しい情報を取得するコストを下げる」こと。
福島さんはかつて以下のように話していた。

TwitterRSSの情報が多すぎて、追うのに疲れているユーザーは増えていると思います。そこでユーザーの趣向に合わせた25記事を厳選して届けています。
情報は増えるのに読まれる記事の数は増えない(減る可能性すらある)となってくるとGunosyのような情報を厳選し、情報を減らすサービスがものすごく需要が出てくると思います。
Gunosyに見るスマホアプリ未来予想図 | Appliv

アップデートについて、Smartnewsぽくなったとの声も見られた。


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ユーザー体験は犠牲になるのか

「絞り込む」ことに焦点を当てていたGunosy。今回のアップデートでジャンル、記事数は増えてはいるが、これまであった「朝刊夕刊」スタイルが消えたというわけではない。
それにプラスしてジャンルごとの記事が追加されているので、レコメンドエンジンを活用した「絞り込む」ことへの欲求に加え、「SmartNews」で補われていた「マス〜ミドル」的なニュース消費を奪いにいったという印象だ。
Gunosy側としては純粋にデータなどを見た上でのアクションなのかもしれないが(「朝刊夕刊」を消費したあとでも別のサービスで情報を消費しようとした傾向がある、とか)、結果的にはそのようにも見える。
ただ、ユーザーの求める体験とは異なる在り方のように見えるのも確かなので、残念がる声も見受けられた。



多くのタブが、当初の価値である「絞り込む」を殺してしまう懸念はある。

データオリエンテッドGunosy

Gunosyはそのサービスのコンセプトとしてもそうだが、データを重視した運用でも知られる。愚直に変化を続ける、数字を見続ける、PDCAを回し続ける。そのようにして成長をしてきたようだ。

1年間で様々なことがありましたが、事業が勢いづいたきっかけとしては、色々ある中でも「組織としての意思決定力がついた」ことが大きかったと思います。
大きな目標に対して、月、日ベースで達成計画を綿密に作成し、数値目標に落とし込み、高速でPDCAを回していく。この1年は、そういった業務に対する企業文化のような物を社内醸成できたことが、会社としての一番の成果だったように思います。(竹谷)
ユーザー数90倍の『Gunosy』、事業が勢いづいた最大のきっかけは?【Startups 2014】 : ライフハッカー[日本版]

共同代表の木村さんも下のようにつぶやく。


今回のアップデートについてもある程度の仮説と検証が固まってからのアクションだとは思うが、ヘビーユーザーに悪い印象を与えたような気もする。
サービス崩壊はヘビーユーザー離れから始まるとも言われるので、初期の価値である「絞り込み」を維持しつつ、どう数字を良くしてユーザーをとっていくのかは難しいバランス感覚が必要とされるだろう。

まあエンタメやスポーツ、刺激的な恋愛ネタや事件ものなどを掲載すればクリック率が伸びるのは当たり前なので、そのあたりを加味してどうジャッジするのかが気になる。
「朝刊夕刊」ではなくタブ閲覧が増えていった、そんなことになってユーザーニーズと当初のコンセプトとの乖離が始まると悲惨だろう。

「愚ノシー」はそこから始まるのかもしれない。

ともあれ、そんな風にユーザーの目の前に餌をぶら下げ続けて数字を稼いだ結果、「全ての人にとって欲しい情報を取得するコストを下げる」の理想形がブレたりしないように願う。

いやーと言うか、満足度や記事消費量を伸ばそうとしてレコメンドの精度を上げるにしても、滞在時間や記事消費本数なんて限界あるもんね。僕も結局はRSS見てGunosy見てはてブ見て…なんて、Gunosyの利用時間なんて限られている上に他も使っちゃうので。

セレンディピティはどちらかと言うと、実際に本人の求める情報を提示できているかどうかというよりは、そのメディアへの期待値とそれに答えた回数の蓄積(歴史)のような気もする。
(雑誌の)penをずっと読み続けて「あーこれこれ!」って思える人は、掲載記事の1割しかヒットがなくても成功体験からpenを選択して満足しちゃう、みたいな。

まあ、ウォッチしよう。